【街金は見た!】街金のぼくは断言する!「街金に借りにくる大半の人は、沈んでいきます」
【多重債務の現実】ぼくと街金④
◼︎債権回収・夜討ち朝駆け・偽装妊娠…なんでもやりました
そんなゴミメンツの中に、数人まともな人がいたんです。
その人たちは、独立、起業していまでも活躍しています。
金貸し以外の道に進んだ人もいます。
ぼくの直属上司もまともな人でした。5つのチームで構成された街金でしたが、回収率、貸付残高も常にトップ、配属に救われました。
上司には、取立てをイヤというほど仕込まれました。
「遅延しそうな債務者の車にGPSを付けとけ」当時はココセコムが最強でした。
「居留守を使う債務者は、出勤時を狙え」
早朝から出張るのもキツイのに、
「オートロックで戸数が少ないマンションの場合は、非常階段に泊まれ」(違法です)
「債務者の実家調べろ。母親攻めろ、親父にバレないようにやれ。息子の首根っこつかんで母親に向かって土下座させればいくらか出てくる」(違法です)
「取立てに行って警察呼ばれたら、とりあえず日本語不自由なフリしろ。効果はないけど、場が和む」(通用しませんでした)
いろいろな経験をしました。怖い経験もしました。
後味悪い経験もいっぱいしました。
小指がない人連れて、ゴネる債務者もいました。
怖い人が来ると、俺が行く! 俺が行く!と最前線取り合いの職場でした。
利息が払えないからと、自宅で自殺しようとする債務者もいました。
「お金で死んじゃダメ! 絶対!」
事故物件になるから。
銀行で貸付金引き出した従業員が、通り魔に刺されて現金奪われたこともありました。
「おまえ、自作自演やろ」
上司に詰められ、フルチンで逆さ吊りにされた従業員もいました。
街金なのに、債権回収も請け負ってました(違法です)。
貸金、売掛、客のツケ、慰謝料、なんでもやりました。
上司の友人に頼まれた債権回収。
「キャバ嬢に妊娠したって言われたんだ。俺、妻帯者だしヤバイし、結婚できないけど面倒見るって言ったんだ。男気だよね。嬢、喜んでたよ。俺の子供を産めるって。仕事できないから生活費送金してやってたんだ。毎月20万から50万。エコー写真の写メも送ってくれたよ。こんなに大きくなったよって。性別わかった! 男の子だよって。
一緒には暮らせないけど、テンション上がるよね。送金も続けたよ。病院にタクシーじゃないと行けないって言うし。で、出産したってメール来たんだ。嬉しかったよ。いろいろ準備にお金かかると思って300万くらい送金したよ。産まれた我が子に会いたい!って思うじゃない? 病院に行きたいって言っても、気持ちが揺らぐからって病院教えてくれないんだよ。嬢の気持ちもわかる。グッと我慢して写真送ってくれって頼んだんだよ。
で、嬢から届いた写真。どうみても生後半年は経ってるんだよ。
あれ? いきなりデカくない? って思うじゃない。
で、嬢に言ったのよ、デカくない? って。
そしたら嬢と連絡取れなくなったのよ。いろいろ不安になって、探偵頼んで調べてもらったの。そしたら嬢、妊娠なんかしてなくて、実家に住んでるけど、チンピラみたいな彼氏いて、すんげえ飲み行ってんの。毎晩すんげえ飲んでんの。
俺、1000万近く送金してんだよ。回収してきて」
上司の友人はずっとひとりで喋ってました。
妊娠偽装が発覚した嬢、常識ある嬢の父親の協力もあり、無事分割回収できました。
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『ぼく、街金やってます: 悲しくもおかしい多重債務者の現実』
著者:テクツル
東京・池袋で街金を営む著者のもとには、さまざまな多重債務者がやってくる。そして返すあてもないまま借金を重ねていく。そんな彼らの、悲しくも爆笑せずにはいられないさまざまなエピソードを面白おかしく、しかし赤裸々に、街金ならではの視点で紹介。
ほかにも、ブローカー、詐欺師、悪徳業者、反社など、日常生活では出会うことのない人々が続々登場。今まであまり語られることのなかった街金コラムも満載。あなたの知らないお金の世界が見えてくる!